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1.17. 星亨と伊庭想太郎

六月二十一日夜、『朝日新聞』号外の摺物を送り来る。 曰く、本日午後三時星亨東京市会において伊庭某のため刺されて即死せりと。 余もまた驚きたり。 これより二十六日葬儀を畢はるに至るまで、京阪新聞、毎日一、二欄星暗殺事件の詳を載せざる莫し。 いはゆる一国如狂もの耶、何ぞわが邦人の軽浮にして沈重の態に乏しき耶。 生ける星は追剥盗賊にして、死せる星は偉人傑士なり、是非毀誉の常なき一に此に至る。 伊庭某余一面の識あり。 名を想太郎といふ、極て温厚沈重の人なり。 而してこの挙に出づ、謂はれなしといふべからず。 但暗殺その事の善か悪かこれ言ふまでもなし、刑法人を殺すなほ大に議すべきありて、死刑を廃するの論各国に行はるる所以なり、いはんや人々相ひ殺すにおいてをや。

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