余かつて或る新聞紙上に論載せしことあり。 曰くわが邦人は既に自国を生活し、また欧米を生活す、一身にして二様の生活を為す、他邦人に比して一倍の生産力なかるべからず。 何の謂ぞや、曰く吾人既に羽織袴を着し、またフロツクコートを着す。 既に煙管を銜み、またパイプを持す。 書院付き茶席付きの家屋の一隅カーフエル付きの洋室を設く。 その他かくの如き類枚挙に遑あらず、この事小なるに似て実は然らず、一国の経済に関する極めて大なるものあり。 五等爵位の大経世家、それ何ぞ此に慮及せざるや。