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2.16. 病の一年半と日記の一年半

然りといへども余の癌腫、即ち一年半は如何の状を為す、彼れは徐ろに彼れの寸法を以て進めり。 故に余もまた余の寸法を以て徐々に進みて余の一年有半を記述しつつあり。 一の一年半は疾なり、余にあらざるなり。 他の一年半は日記なり、これ余なり。

疾病なる一年半、頃日少しく歩を進めたるものの如く、頸頭の塊物漸く大を成し、喉頭極めて緊迫を覚へ、夜間は眠り得るも昼間は安眠すること能はず。 その食に対するごとに、あるいは嚥下すること能はざるべしと思ふことあるも、実際いまだ然らず、鶏子二、三個、粥二碗、一日四合はこれを摂取して違ふことなし。 これ今日なほ能く余の一年有半を録する所以なり。

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