近時作者、多くは修辞に専にして、趣向の巧奇はその野心の存する所にあらざるものに似たり。 この点よりいはば、今の作者皆な近松、武田に及ばざること遠きこと甚し。 近松、武田、独りその文字瑰麗なるのみならず、趣向もまた巧奇にして、人をして拍案せしむ。 余常にいふ、わが邦文章、義太夫本第一等なり、欧西ツラジエヂー、ドラームに劣らず、物語の類皆及ばず。